「最近むせる」は要注意!口の老化“オーラルフレイル”とは

【患者様向け】

「最近、食事中にむせるようになった」「以前より噛みにくい」「口が乾きやすい」そんな小さな変化を感じていませんか?それは“口の老化オーラルフレイル”のサインかもしれません。

オーラルフレイルとは、噛む力や飲み込む力、話す力などが少しずつ衰えていく状態のこと。

放っておくと、誤嚥性肺炎(ごえんせいはいえん)や全身の健康低下につながる可能性があります。

この記事で分かること
  • オーラルフレイルの原因を解説!
  • 初期症状は気づきにくいコレから!
  • 歯科でできる予防・改善法とは

オーラルフレイルとは?口の老化が始まるサイン

オーラルフレイルの定義と原因

オーラルフレイルとは、口の機能が少しずつ低下していく状態を指します。厚生労働省や日本歯科医師会でも注目されており、口の健康と全身の健康寿命との関係が明らかになってきています。噛む力や舌の動き、唾液分泌などが衰えることで、食事や会話が難しくなり、健康寿命にも影響します。

原因内容
歯の喪失噛む力・バランスの低下
唾液の減少口の乾燥、細菌増加
咀嚼筋・舌筋の衰え飲み込みや発音の低下
不適切な義歯食事や会話が不自由になる
口腔清掃不足虫歯や歯周病の進行

日本歯科医師会によると、60代以上の約4割が何らかの口腔機能低下を自覚しているとされています。(出典:日本歯科医師会|オーラルフレイル

「噛む・飲み込む・話す」が少しずつ衰えるプロセス

オーラルフレイルは、ある日突然起こるわけではありません。徐々に衰えていく口の機能が、気づかないうちに日常生活に影響を及ぼしていきます。

  1. 食べこぼしが増える
     → 口の周りの筋肉が弱くなり、食べ物をこぼしやすくなります。
  2. 硬いものを避けるようになる
     → 噛む力が弱くなり、自然と柔らかいものばかり食べるようになります。
  3. 会話中に舌が回りにくくなる
     → 舌の筋肉が衰え、発音や飲み込みがスムーズでなくなります。
  4. むせやすくなる・飲み込みにくくなる
     → 食べ物や飲み物が気道に入りやすくなり、誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

こうした変化は、「年のせい」と思われがちですが、早期に対策すれば十分に改善可能です。オーラルフレイルの初期段階では、歯科医院で行う口腔機能訓練や舌・唇のストレッチ、唾液腺マッサージなどで回復が見込めます。

なぜ今、歯科でオーラルフレイルが注目されているのか

口腔機能の低下は、

  • 栄養不足(食べられる食品の偏り)
  • 免疫力の低下(口内細菌の増加)
  • 筋力低下(噛む・飲み込む動作の減少)

といった悪循環を引き起こします。これが続くと、誤嚥性肺炎サルコペニア(筋肉減少症)など、全身の疾患につながる恐れがあります。近年は「健康寿命」の延伸が重視され、歯科が全身の健康維持に関わる重要な役割を担っています。、歯が20本以上残っている人とそうでない人を比較すると、健康寿命に平均5年以上の差があるという調査も報告されています。

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最近むせるのはなぜ?オーラルフレイルの初期症状

「むせる」「噛みにくい」「口が乾く」は口腔機能低下のサイン

食事中にむせる、噛む回数が減る、口が乾く――これらはオーラルフレイル初期の警告サイン。
特に「口が乾く=ドライマウス」は、細菌が繁殖しやすく、むし歯や誤嚥性肺炎のリスクを高めます。オーラルフレイルが進行すると、「むせ」や「飲み込みづらさ」だけでなく、誤嚥性肺炎や低栄養、筋力低下などを引き起こすことがあります。

誤嚥性肺炎とは、飲み込む動作(嚥下)がうまくできなくなり、食べ物や唾液が誤って気管に入ってしまうことがあります。これを「誤嚥(ごえん)」といい、そこに含まれる細菌が肺に入ると誤嚥性肺炎を起こします。

  • 高齢者が入院する原因第3位誤嚥性肺炎
    (出典:厚生労働省「高齢者の健康状態調査」)

さらに、口腔機能の低下は「栄養摂取量の減少」にもつながり、サルコペニア(筋肉減少症)やフレイル(虚弱)を進行させます。
つまり、オーラルフレイル → 食事量減少 → 体力低下 → 誤嚥性肺炎・転倒リスク上昇という悪循環が起こるのです。

歯科で行うオーラルフレイルのチェックと治療

口腔機能検査(咀嚼力・舌の動き・嚥下能力)

歯科医院では、まず「口の機能がどれくらい衰えているか」を客観的に評価する検査を行います。例えば以下のような項目があります。

  • 残存歯数・義歯の状態:噛める歯が少ないと口腔機能が低下しやすい。
  • 最大咬合力(噛む力)測定:噛む力が低いとサルコペニアやフレイルのリスクが上がる。
  • 舌口唇運動検査(「パ/タ/カ」速度など):舌や唇の動きが遅いと嚥下・会話で支障が出る。
  • 嚥下機能検査(簡易水飲みテスト等):むせやすさや飲み込みづらさを評価。
  • 唾液分泌量・口腔乾燥のチェック:唾液が少ないと細菌増殖・虫歯・歯周病のリスク増。

こうした検査によって、「オーラルフレイルかどうか」「どこを優先して治療・ケアすべきか」が明らかになります。例えば、ある調査では「咬合力が低い高齢者は認知症発症リスク約1.5倍」というデータもあります。(参考: 日本老年歯科医学会 「口腔機能低下症」基準

嚥下リハビリ・口腔体操で機能を回復

「パタカラ体操」や「舌のストレッチ」で筋力を強化し、むせにくい口を目指します。
日常的にできる簡単な運動を中心に、自宅でも継続できるメニューを提案します。

  • 舌・唇・頬の筋力トレーニング(俗に「パタカラ体操」など)
    (参考:大阪府歯科医師会「お口の働きを高める体操」)
  • 噛む回数を意識した食事訓練:硬めの食材を取り入れ、噛む回数を増やす
  • 嚥下反射を促す訓練:重湯やゼリー食から始め、むせずに飲み込む訓練を行う
  • 顎や頬のストレッチ・マッサージで筋膜の動きを良くする

これらのリハビリを継続することで、噛む力・飲み込む力・会話のスムーズさを改善できることが報告されています。

唾液腺マッサージや保湿ケアで口の乾きを改善

口の乾燥(ドライマウス)はオーラルフレイルを進行させる大きな要因の一つです。唾液には、口内を清潔に保ち、細菌の増殖を防ぐ役割があります。唾液量が減ると、虫歯・歯周病・むせ・嚥下障害・誤嚥性肺炎のリスクが高まります。

唾液分泌を促すマッサージ法や、保湿ジェルを用いたドライマウスケアを指導。定期的なケアで口の潤いを保ち、誤嚥性肺炎や口臭の予防にもつながります。家族との会話や笑顔も、口腔筋を動かす大切なトレーニング。“会話のある生活”が、最も自然なオーラルフレイル予防です。

まとめ

「最近、食事中にむせることが増えた」「固いものを避けるようになった」――そんな小さな変化こそが、オーラルフレイル(口の老化)の始まりかもしれません。オーラルフレイルは放っておくと、飲み込み機能の低下や筋力減少、さらには誤嚥性肺炎や栄養不良など、全身の健康を脅かす要因になります。しかし、早期に気づいてケアを始めれば、進行を防ぎ、再び“食べる力”を取り戻すことができます。

特に、神戸市北区・八多町エリアでは地域の高齢化が進み、「まだ大丈夫」と思っているうちにオーラルフレイルが進行しているケースも少なくありません。からこそ、「むせる」「噛みにくい」「飲み込みづらい」と感じた段階で、すぐに歯科でのチェックを受けることが大切です。

「年齢のせいかも…」と諦める前に、まずは一度ご相談を!きずな歯科が、あなたの健康寿命と笑顔を守ります!

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